実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです
「真穂にクローゼットを任せるのも、才能を認めている証拠だ。」
「そうかしら?」
「見たことあるか?貴子のクローゼット。」
「そりゃあ、仕事柄だもの、凄い量のお洋服や小物よ。
でも…見事よ、真穂ちゃんが整理したら。わかりやすくキレイに片付いてて。」
「あれは、舞台だそうだ。」
「はあ?」
「貴子が言ってた。色彩といい、整理された形といい…舞台芸術みたいだって。」
「そう言われれば…。」
「真穂には才能があるって事さ。演技で無くても舞台衣装とか監督とか…。」
「この世界で何でも熟せただろうに、こっちの道に進ませなかったのね。」
「ああ…。」
「克ちゃん、後悔してるの?」
「いや、後悔より…僕の両親があの子の感性や自信を抑え込んでしまった事が悲しいかな。」
「確かに…あまりにも自己評価が低いわねえ。」
「そこを何とかしてやりたいんだよ。」
「フフツ、無理ね。そう言いながら、克行も娘に依存してるじゃない?」
「お恥ずかしい…自覚はあるんだが…あの娘に頼っちゃって…。」
「まず、あなたが娘離れしなさいよ。」
「だよなあ…。」