実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです


自分の部屋に入って、真穂はため息をついた。

真穂の部屋…。として使ってはいるが、元は二階の北向きにある納戸だ。

わりと広い部屋だったので、真ん中をカーテンで仕切って見えなくしている。
隠した半分のスペースには納戸として、季節用品などを置いているのだ。

弟妹には秘密基地の様だとウケるが、真穂自身はあまり安らげる空間ではない。

この世田谷の家を建て替える時、デザイナーは一階の来客スペースや駐車場は
凝りに凝った造りにしたが、二階の家族スペースはいたってシンプルだ。

当時大学生だった真穂はいずれ就職や結婚で家を出る予定だった。
弟妹が二人出来る状況は想像もしていなかった。

弟妹用の子供部屋にしている広い洋間を真穂が使っていたのだが、
家族が増えて、今の納戸に移った。

勿論、夏子は最初から母の為に用意していた部屋を使っている。

「もう、疲れた…。」

明日の朝、早く起きてシャワーをゆっくり浴びよう。

眠りにつけば、全て忘れてしまえる…。


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