僕惚れ②『温泉へ行こう!』
 彼は、そんな私の頭を何も言わずにずっと撫で続けてくれて――。

理人(りひと)、私も……」

 ややして少し気持ちが落ち着いた私は、涙を拭って、理人からもう1つのリングを受け取ると――。 

 彼の、左手の薬指に()めた。

 それはすごく、すごく、ドキドキして幸せな瞬間で――。

 二人で指環をした指を見せ合って、自然と笑顔になる。

 たったこれだけの輪っかで、なんて幸せな気持ちになれるんだろう。

 理人がくれた、理人とお揃いの指輪だから……。
 それが、私にとってものすごく大きな意味を持つんだと、どうやったら理人に伝えられるかな?

 私は、無意識に指輪と理人を交互に見比べた。

 こんなにも幸せな気持ちにしてくれる理人に、私は何を返してあげられるだろう?
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