僕惚れ②『温泉へ行こう!』
*ちゃんと私を感じて欲しい
理人(りひと)、……したい、な?」

 私は初めて、彼に抱きついて自分から彼を求める言葉を発した。
 今なら……彼が私を無条件で求めてくれる気持ちが物凄くよく分かる。

葵咲(きさき)……?」
 そんな私に、理人が驚いた顔をする。

「さっきみたいに理人が辛そうなのじゃなくて……理人にも幸せな気持ちで……ちゃんと私を感じて……欲しいの……」

 私は、身も心も彼のものなのだから――。

「理人、持ってる、よね?」
 何が、とは言わなかったけれど、彼はそれだけで分かってくれた。
 すぐに(うなず)いて、私を抱きすくめる手に力がこもる。
 私が大学を無事卒業するまでは……彼に負い目を感じさせるわけにはいかないから。

「さっきもしたばかりだけど、葵咲、しんどくない? 無理してない?」
 聞きながら、理人が優しく私の瞳を覗き込んできた。
 私は、理人を真っ直ぐ見つめ返すと、小さく首肯(しゅこう)する。
 
 その意思表示に、私を抱きしめる理人の下腹部から、熱を持ち始めた彼を感じて、私の身体も理人を受け入れる準備を始めたように、甘やかに(うる)みを帯びて香り立つ。

 どちらからともなく口付けを交わしながら、我慢できないように、二人、ベッドに倒れこんだ――。

 理人(りひと)が、私の上になって、首筋にキスを落としながらウエストで結んだ帯を解く。
 帯を失った襟元(えりもと)は、簡単に(くつろ)げられて――。

 お風呂上りで下着を何も身につけていない胸が、ほろりと顔を覗かせた。

「あっ……」
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