あなたに、キスのその先を。
 そこで、ウェイターさんが飲み物と前菜を持ってきてくださる。

 修太郎(しゅうたろう)さんと健二(けんじ)さんは各々お車でいらしているということで、ガス入りのミネラルウォーターを頼まれて、私もお酒は懲り懲りなので、お二人と同じものにさせていただいた。

 佳穂(かほ)さんは、「えー? みんな飲まないの?」と言いながら、一人だけしっかりシードルを頼んでいらした。「ホントはビールが飲みたいんだけどね」とウィンクなさるのがとても好印象で。佳穂さんは私みたいにお酒で失敗なさることはないんだろうなぁと思ってしまった。

 各々の前に飲み物と前菜――サーモンのマリネ――が置かれる。

 みんなでグラスを持って、乾杯をして……。私はそのあと一人手を合わせていただきます、と小声でつぶやいた。修太郎さんが、それにあわせていただきます、をしてくださったのが何だかすごく嬉しくて。

 いただきますをしたあと、緊張からか喉が渇いてしまって、もう一口だけ炭酸水を口に含んでからグラスをテーブルに戻したら、
「ね、日織ちゃんは私のこと、どんな存在だと思ってる?」
 健二と幼なじみだということはさっき話したわよね、と佳穂さんが尋ねていらした。

 私は彼女からの突然の質問に、グラスから手を放せないまま、動きを止める。
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