あなたに、キスのその先を。
「でしたら……っ」
 思いながら先ほどの言葉を繰り返そうとしたら、彼に冷ややかな視線を向けられて、言葉に詰まります。

「出来ないままは困りますし、耐えられません。――ので、()()今以上にもっともっと努力します。日織(ひおり)さんが、怖かったり痛かったりするのを我慢して、僕との行為を受け入れたりなさらなくても済むように……()()()()、頑張るんです。僕と貴女がセックスできないのは、日織さん一人の責任ではありません。夫婦の営みは一人でするものではないですよね? 二人でするものでしょう? でしたら貴女だけに責め苦を負わせるのはおかしい。――それにね、日織さん……」

 そこで私をギュッと抱きしめていらっしゃると、修太郎(しゅうたろう)さんがとても言い難そうに一度小さく吐息をつかれたのが分かりました。

「言おう言おうと思いながら……ずっと言い損ねていましたが……()()()()()()()()()()()()()()んです」

「……え?」

 修太郎さんのお言葉の意味が分からなくて、私は思わず彼の腕の中で身じろぎました。
 修太郎さんのお顔を見ようとしましたが、それを阻止するように彼の腕に力がこもります。

 修太郎さんは私の肩に額をお乗せになられると、ポツン、とつぶやかれました。

< 297 / 358 >

この作品をシェア

pagetop