あなたに、キスのその先を。
「塚田しゃん、王子様みたいれ素敵なのれす」
はずかしいくらい呂律の回らない言葉も、きっと夢の中だから。
一生懸命走っているのに全然スピードが出せない、とか……誰かを全力で追いかけているのに何故か歩いているはずの相手にどんどん離されちゃう、とか夢の中ではそう言うもどかしいことがまま起こるものだもの。このたどたどしくて歯がゆい口調も、きっとそんなのの一種。
「ありゃりゃ。藤原さん、完全に酔っ払っちゃってますね」
私の真正面に座った、その他大勢くんの一人が、そんなことをつぶやいた。
私はその声に、半ば条件反射で「すみません」と言う。
「二人とも、すまないが僕はこのまま彼女を送っていくことにするよ。――これで支払いとか頼めるかな?」
言いながら塚田さんが林さんたちに向いてお財布を取り出しておられるのが見えた。
(んー、渡しておられるお札が本物っぽいから……これは現実、かな?)
はずかしいくらい呂律の回らない言葉も、きっと夢の中だから。
一生懸命走っているのに全然スピードが出せない、とか……誰かを全力で追いかけているのに何故か歩いているはずの相手にどんどん離されちゃう、とか夢の中ではそう言うもどかしいことがまま起こるものだもの。このたどたどしくて歯がゆい口調も、きっとそんなのの一種。
「ありゃりゃ。藤原さん、完全に酔っ払っちゃってますね」
私の真正面に座った、その他大勢くんの一人が、そんなことをつぶやいた。
私はその声に、半ば条件反射で「すみません」と言う。
「二人とも、すまないが僕はこのまま彼女を送っていくことにするよ。――これで支払いとか頼めるかな?」
言いながら塚田さんが林さんたちに向いてお財布を取り出しておられるのが見えた。
(んー、渡しておられるお札が本物っぽいから……これは現実、かな?)