ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 そこからはあっという間だった。

 頭にホッチキスをつけるなんて痛いに決まっていると顔をしかめて見守っていたのに、呆気ないほど処置は一瞬で終わり、蒼斗に「痛かった?」と聞いても首を横に振る。

 そういうものなのかと瞬きを繰り返していたら、近くにいた看護師がこそっと私に耳打ちした。

「それなりの技術が必要なんですけど、大槻先生の腕がいいからそこまで痛くなかったのかもしれません。先生の腕はトップクラスですので」

 優しく微笑む看護師は、私たちが特別な間柄にあるとわかっているからこんな発言をしたのかもしれない。

 あんな意味深な発言を繰り返していたら誰でもそう思うよね。

 蒼さんは終始堂々としているし、私たちの関係は隠さなくていいと判断できたので、この言葉は素直に受け取って微笑み返した。

「そうなんですね」

「そりゃあもう。先生に診てもらいたいからと、県外からみえる方もいるんですよ。腕がいい医師がいると口コミでもかなり広まっているようで、先生のお名前はかなり有名です」

 蒼さんは基本的に家で仕事の話をしないから、ここまですごい人なのだと初めて知った。

 母親が倒れて運び込まれたときも、看護師たちが彼の腕を褒めたたえる発言をしていた。そして海外研修を経た彼は、あの頃よりもっと腕を上げて患者から絶大な信頼を得ているのだろう。
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