ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「次はどこに行きたい?」

「うーん……びょーぶちゅえ」

「動物園だな。わかった。じゃあ頑張って頭の傷を治そうか」

 つたない言葉は母親である私にしか理解しきれないことが多々ある。しかし蒼さんはこの一ヶ月で蒼斗の癖を把握したのか、ほとんど聞き取れている。

 難しい顔を作って神妙にうなずいた蒼斗に、蒼さんは長くて綺麗な小指を立てた。

「男同士の約束だ」

 蒼斗はふにゃっと顔の筋肉を緩めて、小さくて短い小指を立てる。

 対照的な指を絡ませて指切りげんまんの歌を歌い終える頃には、蒼斗は楽しくてたまらないといった様子で身体を横に揺らしていた。

 ふたりの姿に胸が熱くなり、周りの目があると痛いほど理解しているのに澄ました顔ではいられない。

「みちるはそこまで心配しなくていい。責任を感じる必要もない。俺も気にしておくし肩の力を抜いて」

 ほしい言葉をすべて貰えて、緊張の糸が切れて深い息をついた。よかった、蒼さんがそばにいてくれて……。こんなに心強いことはない。
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