ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「すみません。みちるにはまだ話していないんです」

「あら、そうなの」

 ふたりのやり取りを見守りながら頭のなかは疑問符でいっぱいだ。

 蒼さんって母親とも連絡を取り合っていたの? てっきり父親だけかと思っていた。

「蒼斗くんは、ばあばのおうちでねんねするんだよね」

「いいねえ」

 蒼斗の反応からして前々から言い聞かされていたように感じた。

「え、どういうこと?」

「金森さんに、蒼斗を預かってもらえるように頼んでいたんだ」

「……どうして?」

 純粋な疑問だった。

「どうしてって、大槻先生がみちるとふたりきりでゆっくりしたいからじゃない」

 じれったいわね、とでも言いたげな目つきで母親が言う。

「そうなの?」

「そうだよ。みちるが蒼斗と離れたくないと言うなら、三人で一緒に帰ろう」

 待って。その前に、こんな恥ずかしい会話を両親の前でしなくてはいけないなんてどんな仕打ちなの。

 羞恥心で全身が熱くなり服の下に汗が滲む。個室のなかはしんと静まり返り、皆が私の返事を待ちわびている。
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