ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「私からは、みちると蒼斗くんをお願いします、ということだけです。小言はもう電話でいっぱい話したからね」

 母親の台詞に驚いて、隣に座る蒼さんの顔をまじまじと見つめた。しかし蒼さんはふたりから返事を聞くまでは凛とした姿勢を崩さないつもりなのか、こちらに一切視線を寄こさない。

 父親は皆が会話するなか、ひとり背筋を伸ばして真剣な面持ちでいた。

「みちるの父親とはいえ、十年以上会っていなかった私から蒼くんになにかを言える立場じゃない。あるとすれば、涼香の命を救ってくれてありがとう。みちるを支えてくれてありがとう。そして私の問題を解決して、また大切な家族に会わせてくれてありがとう、だ」

 目の奥が痛くなり、熱いものが込み上げる。

 父親を恨んでいた時期もある。ただ自分も親となり、子供の頃にどれほど愛情を注いでもらっていたのか今なら痛いほど理解できる。
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