ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「これまで涼香とみちるには謝っても許されないほど迷惑をかけた。後悔してもしきれない」

 悲痛な声が胸を突き刺すように響いてくる。

 今日再会してからの父親は一時期荒んでいたのが嘘みたいに、すっかり元の穏やかで優しい性格に戻っているように見受けられた。

「これからは心を入れ替えて生きていく。孫におじいちゃんと呼んでもらいたいからな」

 もう一度人生をやり直そうとしている父親を嫌うなんて、誰ができるだろうか。

「嫌だわ、お父さん。お祝いの席なんだからしんみりさせないで」

 言葉はあれだが、母親の口調からは父親を労わっているのが伝わってきた。

「じじい」

 蒼斗が空気を読んでいるのかいないのか、誤った呼びかけをしながら父親に短い手を一生懸命伸ばす。

「あー!」

 手が届かず苛立ったのか急に叫んだ。

「蒼斗くんどうしたの?」

「克己さんのところに行きたいのかもしれない」

 気にしないようにしていたけれど、先ほどから突っ込みどころ満載だ。蒼さんと父親、いつの間に名前で呼び合う仲になったの?
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