ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 
 待ち合わせ場所は病院からほど近いカフェレストランになった。

 家まで迎えに行くと提案されたけれど、それならカフェで直接待ち合わせて時間を有効活用したいと伝えた。

 大槻先生は『合理的だね』と笑っていたけれど、少しでも一緒にいたいという、裏側に隠された意味を果たして理解しているのだろうか。

 待ち合わせ十分前、先に到着した私は予約の『大槻』という名前を名乗って店員に席まで案内してもらった。

 落ち着いた内装で、ホッと息をつくようなくつろげる空間が広がっている。

 恋人同士で来ている客が多いからか男性もそれなりにおり、席はすべて埋まっていた。さすが人気店だ。

 カフェレストランなら気負わなくていいと安堵したのに、店のホームページを事前に覗いたら、ミシュラン星を獲得している有名店だと知って冷や汗をかいた。

 やはり医師というのは日常的にこういう場所を利用しているのだろうかと、生きている世界が違う現実を突きつけられて心が沈んだ。

 大槻先生にかかわることで一喜一憂するのは、彼に惹かれているからだとだいぶ前から自覚している。

 不釣り合いでも、ほんのひととき幸せな時間を過ごすくらい許されるよね。

 だって母親が退院すれば彼との接点もなくなり、二度と会う機会はなくなるだろうから。
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