ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「莉々沙先生は、やっぱりここのドクターと結婚するの?」

 七十代くらいに見える女性患者が、車椅子を押している莉々沙先生を見上げて尋ねた。

「その手のお話、相変わらず好きですね」

「恋の話は何歳になっても楽しいものよ。それで、どうなの?」

「うーん、どうでしょうね」

 苦笑する莉々沙先生に対し、患者と看護師の表情には愉快げな雰囲気が滲んでいる。

「ここだけの話、大槻先生とお見合いするって本当ですか?」

 看護師の言葉に耳を疑い、反射的に莉々沙先生の顔を見つめた。

 お見合いって……。

「やだ、噂が広がるのって本当に早いのね。そういう話もあるけど、私より大槻先生に相応しい人はたくさんいるから」

「院長の娘で、美人で、大槻先生と同じ脳外科医の莉々沙先生より相応しい人って、誰ですか? すっごくお似合いですよ~!」

 テンション高めに言う看護師に、初耳だったらしい患者は「そうなの!?」と目を丸くしている。
< 63 / 193 >

この作品をシェア

pagetop