【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
エレベーターで5階に上がり、さてどこで菜月を待とうかと辺りを見回したそのとき、俺の仕事用のスマホが鳴った。
画面を見ると秘書の鮎川からの電話だ。
鮎川は別名『俺の見張り役』……と俺が陰で勝手に名づけているのだが、俺がCEOに就任すると同時に義母が寄越した若い秘書で、俺の行動を逐一親に報告しているお目付け役の男だ。
――この便で帰国するとは知らせておいたが、早速連絡してくることもないだろうに。
チッと舌打ちしながら電話に出ると、通話口から鮎川の冷静沈着な声が聞こえてくる。
『臣海様、どちらにいらっしゃるのですか?』
「空港にいるが、どうした? 仕事なら明日にでも……」
『珠妃様が空港内の駐車場でお待ちでございます』