【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「菜月は社長令嬢でも資産家でもない。父親は早くに亡くなっていて看護師の母親と双子の弟がいる。今はアパートで一人暮らしだ」

 俺がそう告げた途端、鮎川が顔をしかめる。

「それはかなり厳しいですね。特に奥様は環妃様を差し置いてそのような方とお付き合いされることを許されないでしょう」

「わかっている。しかし見合いをしたあの時と今では事情が違う」

 父親はその後リハビリを経て会長職に就いているし、俺もCEOとしてそれなりの成果をあげてきた。

 だから父親にまた何か起こる前に俺がKUONグループを盤石なものにしてしまえば、何の問題もないはずなのだ。

 ――そのためには仕事でもっと大きな成果をあげて認めさせなければ……。


 実を言うと、今回日本に帰ってきたのは菜月と一緒にいたかったからだけでなく、新たな事業に着手しようと決めたからだ。

 菜月と結ばれたあの日、彼女をホテルに送った後で考えた。
 菜月と付き合うためには環妃さんとの婚約を解消し、親に認めさせなければならない。そのためにどうするのがいいかと。

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