【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 その年の7月10日は土曜日で、祖母は買い物ついでに俺の誕生日ケーキを受け取ってくると言って外に出ていた。

 俺が自分の誕生日そっちのけでお昼用の卵焼きを焼いて皿に載せていると、母がフラリと布団から起き出してきて俺の手元を覗きこむ。

『卵焼き?』
『あっ、母さん! そう、卵焼き、食べられそう?』

 母は箸立てから箸を取り出して、焼いたばかりの卵焼きの端を割って口に運ぶ。

『うん、美味しい! ちゃんとお祖母(ばあ)ちゃんの味になってるね、私が好きな甘いやつ』
『俺もこの味が好きだよ』

『臣海はきっといい旦那さんになるね。お嫁さんも料理上手な人がいいな』
『自分が楽ができるから?』
『そう、臣海とお嫁さんが料理ができれば私は食べるだけでいいでしょ?』

 2人でハハハと笑い合って、それから母は久しぶりにパンケーキを焼いてくれた。

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