【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 しばらくして彼の表情が穏やかになり、再び深い眠りについたのを確認してから腰に回った腕をはずす。

「ここってスイートじゃないかな」

 改めて見れば、部屋の広さといい調度品といい、どう見ても普通の客室ではない。

 バーで酔い潰れた私をこの金持ちそうな男性がお持ち帰りした……というシチュエーションで間違いないだろう。

 まさか自分がそんなことをしでかしてしまうとは思わなかったが、面倒なことになる前にここを去ったほうがよさそうだ。

 ベッドを揺らさないようゆっくり下りると、カーペットに散乱している下着や服をかき集めて身につけた。

 ――この部屋、おいくらだろう。

 このレベルだと一晩500ドルは下らないだろう。
 慌てて財布の中身を確認してみるが、あいにく100ドル札2枚と小銭、あとはクレジットカードしか入っていなかった。

「仕方がない、あるだけ置いていこう」

 お札を2枚サイドテーブルに置いて、最後にもう一度彼の顔を見る。

「お金はここに置いていきます。一応……メリークリスマス」

 そのまま自分がチェックインしていたホテルに戻った私は、惨めな気持ちのまま1人でクリスマスを過ごし、翌日日本に帰ったのだった。

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