【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「――最近は落ち着いていたと思っていたんだが、やはり疲れていたのかな」
シートベールトを外して立ち上がろうとする俺に、鮎川は物言いたげな目を向ける。
「んっ、なんだ。何かおかしいか?」
「いえ、臣海様はうなされてはいませんでした」
鮎川は少し言い淀んでから、
「うなされてはいませんでしたが、菜月……と2度、いえ、3度ほど呟いて、ニマニマしておいででした」
「ニマ……っ!」
どうやら菜月不足が溢れ出てしまっていたらしい。
1度ならずも2度3度……って、俺はどれだけ彼女に夢中なんだと耳まで熱くなる。
「ふっ……ククッ、そうか、菜月は悪夢より強いのか……ハハッ、本当に最高だな」
すると鮎川は表情を緩め、親友の弱点を見つけた悪ガキみたいな顔になる。
「顔を赤くする臣海様もレアですし、そんなふうに楽しげに笑うのもはじめて見ました。結構純情なんですね」
「おまえがそんなふうにツッコミを入れるのも珍しいがな」
なんだか面映い空気になって、2人でニマニマしながら席を立った。