【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「妻は今、間宮家を(なだ)めに行ってくれていてね」

 婚約解消で間宮家とはギクシャクしてしまったが、元は千春さんも間宮家の人間。そして夫の病気中に頭越(あたまご)しに見合い話をすすめた張本人でもあるので、弟である間宮公造(こうぞう)氏との橋渡し役をみずから買って出たのだという。

「あれが自分の姪を臣海の婚約者にと強く望んだのは、せめてこの家に自分の血を入れたかったのかもしれんな。この家でずっと寂しい思いをさせてしまったから」

 そして久遠さんは私に向かい、「ぜんぶ妻に任せていたものだから、報告を受けるまで気づかなかった。あなたには不快な思いをさせてしまったようで申し訳なかったね。だが、あれなりにKUONグループに役立とうと必死だったんだ」と頭を下げた。

「いいえ、お話をうかがって事情はわかりましたから……ねっ、臣海さん」

 隣を見ると、臣海さんはまだ茫然(ぼうぜん)としている。

 当然だろう、今まで母と自分を捨てた酷い人間だと思っていた父親が、実はずっと胸に愛情を秘め続けていたと知ったのだから。

 そして自分を疎んじていると思っていた義理の母親もまた、葛藤しつつも久遠家のために尽くしていたとわかったのだ……。

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