【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
そんな臣海さんの様子に、久遠さんは口角を上げて苦笑する。
「まあ、そういうことだ。私は二人の女性を不幸にした愚か者だ。たった一人の愛する女性さえ幸せにできなかった男が、息子の恋愛を反対できるわけがない」
「……過去形にしないでくださいよ。これから幸せにすればいいじゃないですか」
久遠さんの言葉を遮るように、臣海さんが口を開いた。
「俺はずっと自分ばかりが被害者だと思っていました。そのせいであの人とも距離を置いてきたけれど……今後は徐々に歩み寄るよう努力できたらと考えています」
自分は会社のための歯車だと割り切ってきた。
結婚相手も決められているのなら恋愛なんて必要ないと思っていたのだ。
「ですが俺は菜月と出会って変わりました。変われて嬉しいと思っています」
と臣海さんは恥ずかしげに口角を上げる。
その笑い方が久遠さんと本当にそっくりで。
ああ、やはり父子なんだな、海冬さんもこんなふうに思いながら臣海さんを見つめていたのかな……なんて思うと目頭が熱くなる。