【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「そうか、おまえは私と違って動くことができたんだな」
「えっ?」
「私は動くことができなかった……」
久遠さんが遠くを見るような目で過去の自分を振りかえる。
「本気で探そうと思えばいくらでも手段があったんだ。しかし私はそれをせずに有力者の娘と結婚することを選んだ」
久遠さんがニューヨークに戻るとすでに海冬さんはいなかった。しかしそのことに内心ほっとしたのだと言う。
「突然消えられてショックだったし悲しかった。だがそれと同時に、これでもう迷う理由がなくなった……とも思ったんだ」
父親が遺したKUONグループを弱冠28歳の自分が率いていかなければいけない。そのためには力が必要だ。
どうするべきか悩みながらも自分では決められず、恋人に日本に来いと選択を迫った。卑怯者だ……と久遠さんは唇を噛み締める。