【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 これはマズイとそっと臣海さんの顔をうかがえば、彼はククッと笑いを噛み殺し、私をチラリと見てから口を開いた。

「そうだよ父さん、『あれ』は失礼だ。ちゃんと名前で呼ぶべきだと俺も思います」

 臣海さんの追撃に久遠さんが顔を赤らめた。

「今さらそんな、気恥ずかしい……おまえだってあれ……千春をちゃんと呼んだことがないだろう」

「そりゃあ俺だって今さらお母さんとは呼べないですが……でも、せめて千春さんと呼ぼうとは、今思いました」

 そんなやりとりをニマニマしながら眺めていたら、今度は2人が私を見つめてくる。

「おまえ、いい娘さんを選んだな」
「ええ、俺もそう思います。今すぐ結婚したいくらい」

「まあ、せめて半年は待て。間宮家の手前もある」
「それじゃあ秋ということか……」
「式の招待客リストは早めに作っておけ」

「えっ……ええっ!?」

 久遠さんと臣海さんを交互に見やりあたふたする私に、2人が揃って笑い声をあげる。
 その笑い方もやはりそっくりで、この光景を海冬さんに見せてあげたかったな……と心から思った。

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