【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
左手の腕時計をチラリと眺め、久遠さんが腰を浮かせる。
「長く話しすぎてしまったな。私は用事があるのでこれで失礼するよ。2人はゆっくり食事をしていくがいい。ああ、そうだ……そういえば、おまえが焼いてくれたパンケーキは美味しかった。ありがとう」
――えっ!
私が勢いよく臣海さんを見ると、彼も目を大きく見開いていた。
「忘れたか? おまえがうちに来てまもない頃に作ってくれたんだ。おまえの母親がニューヨークの部屋で焼いてくれたのと同じ味だった」
ニューヨークで臣海さんが使っているあの部屋のカウンターテーブルで、2人並んで食べたのだと言う。
「昔の恋人の手料理を思い出したのが後ろめたくてな、妻の手前、手放しで喜ぶことができなかった。礼を言えずじまいだったが……美味しかった。ごちそうさまでした」
「覚えているよ。……今度、また作る」
「そうか、楽しみだ」