【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 たしかに酔って前後不覚になってしまったうえに身体を許したとなれば、そう思われても仕方がないかもしれない。

 もしかしたらまた一晩相手をさせようと思っているのではないか……なんて考えると、ノックするのを躊躇(ためら)ってしまうのだ。

「だけど、酔った私を運んでくれたのにお礼を言わずに逃げたのは失礼だったし……」

 久遠様はJAWの大切なVIP。
 今後も機内で顔を合わせるかもしれないのだから、一度しっかり話をしておくべきだと結論づけて、ここまで来た。

「う〜っ、行くか。行くしかないよね」

 腕を組んで考えていたその時、内側からドアがガチャリと開いた。

「おい、何をブツブツ呟いてるんだ」
「ひゃっ!」

 ドアの隙間から、黒いバスローブを身につけた久遠様が整った顔をのぞかせている。
 髪がまだ濡れているところを見ると、シャワーを浴びた直後なのかもしれない。

「ぬっ、盗み聞きしてたんですか!?」

「失礼だな。勝手に聞こえてきたんだ。そろそろだと思ってドアスコープを覗いたら、おまえが熊みたいにウロウロしてしているのが見えた」

「くっ、熊って、失礼な!」
「ピーピー騒ぐな、近所迷惑だ。入れ」

 グイッと腕を掴んで引っ張り込むと、彼はドアを閉め、ドアチェーンをかけた。
 その金属音が『逃がさない』と言っているようで、一瞬にして背筋が冷える。

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