【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 今日は私と臣海さんの初デート。

 ニューヨークでカフェに行ったり日本で臣海さんのマンション近くのコンビニに行ったりはあったけれど、こうして待ち合わせる『ちゃんとした』デートは今までに無かったので、これが初だと言ってもいいと思う。

 臣海さんのお父様から交際を認めていただき約2週間。
 私は海外のフライトが続いていたし臣海さんも北海道に行ったりしていたため、少し顔を見るくらいしかできていなかった。

 今回久しぶりにゆっくり会えることになり、デートをしようという臣海さんに私が提案したのは『待ち合わせ』。

 たしかに臣海さんに車でお迎えに来てもらえば楽だろうけど、本当の恋人らしく王道のプロセスもちゃんと踏んでおきたいのだ。

『プロセスって……セックスからのスタートで、思いきり逆行しているんだがな』

 臣海さんはそう笑ったけれど、それでも私の乙女心を理解してくれたらしい。
『待ち合わせか……恋人とは俺も初めてだな。楽しみだ』と口角を上げ、自分がとびきりのデートプランを練るからと言ってくれた。

 彼の言葉にホテルの部屋で一晩限りの女性と待ち合わせる姿を想像し、『ムムッ、不埒(ふらち)な!』と思ったものの、そこには触れないでおく。

 そして彼が提示した待ち合わせ場所が、この銀座の有名店の前だったというわけだ。

 私が先に着いて待っているつもりでいたし、臣海さんなら20分くらい遅刻して偉そうに現れる可能性もあると思っていたから、これは嬉しい誤算だ。

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