【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
 家族のあり方、親子のあり方なんて、人それぞれだ。
 私の力でどうにかしたいだとか、何かを動かそうだなんて傲慢(ごうまん)でしかない。
 
 ――けれどもしも、臣海さん本人が今の状況を変えたい、変わりたいと思っているのだとしたら。

 私は彼の妻として、そっと背中を押すくらいはすべきなんじゃないだろうか……とも思うのだ。

 だから私は今夜、ちょっぴり勇気を出してみることにした。


 夕刊を読み終えた臣海さんが、それを丁寧に畳んでテーブルの(すみ)に置く。
 私はそのタイミングを見計らって思い切って声をかけた。

「父の日のプレゼント、何がいいと思う?」
「えっ? もちろん菜月」
「……は?」

 思わず低い声が出た。

 こっちは真剣に考えて話題を振ったのに、どうしてここで下ネタになる!?

 私は唇を尖らせながら、声を低めて訴えた。

「臣海さん、私はお義父さんに何を贈ればいいかを聞いてるんだけど?」

「あっ」

「お義父さんたちは何でも持ってるし、花だって松濤の家ならいくらでも庭に咲き乱れてるし。何かいいアイデアはないかな」
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