【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「あれっ? 食べ物の匂いがする」
私が寝室の入り口のほうに顔を向けると、臣海さんも手を止め一緒に視線を動かす。
そして少年みたいにニカッと白い歯を見せた。
「おっ、気づいたか。だから菜月を起こしたんだ。温かいうちに食べさせてやりたくて」
――えっ?
臣海さんに手を引かれベッドから下りると、軽くシャワーを浴びてバスローブ姿でキッチンカウンターに向かう。
そこには白い器に美しく盛り付けられた2人分のカプレーゼとカルボナーラがあった。
「嘘っ、凄い! 臣海さんが作ったの?」
「ああ。近所のグロッサリーストアで買い物して、カフェでチーズとメープルシロップを引き取ってきた。菜月が起きる前にと思って急いだから、最低限の材料しか揃えられなかったが」
あんなにダッシュしたのは久しぶりだったとか、疲れているだろうから起こさないように気をつけただのと聞かされて、ついつい目頭が熱くなる。
「こんなの臣海さんのキャラじゃない……優しすぎる」
「おまえ失礼だな」
彼はそう言いつつも穏やかな表情でカウンターのハイチェアを引き、ウルウルしている私を座らせてくれた。