【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 そのとき急に彼が立ち上がった。
 冷蔵庫から白い小箱を出してきて、中からイチゴのショートケーキとチョコレートケーキを取り出してみせる。

「どっちが好きなんだ」
「えっ、イチゴ」
「俺もイチゴが好みだが、こういうのは主役が優先だからな、今回は菜月に譲ってやろう」

 そう言って私のほうにイチゴショートケーキをズイッと押した。

「菜月、3日遅れだが誕生日おめでとう」

 ――えっ?

「彼氏に祝ってもらうのに憧れてたんだろ? ロウソクが無いのは許してくれ。後で気づいたんだ」
「臣海さん……」

「本当は5th アヴェニューで誕生日プレゼントを買うつもりだったんだが、菜月が嫌がるからな」
「嘘っ、そんなことを考えてたの?」

 臣海さんは口元を微妙に歪めて「物で釣ろうとかそんなつもりはなかったんだが」と独りごちる。

「初デートで、菜月の誕生日のお祝いなんだぞ。恋人として何かしたいに決まってるだろう」

 だから色々考えて、私が寝ている間に料理を作ることを思いついたのだと言う。

< 72 / 349 >

この作品をシェア

pagetop