【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「この俺が女のために走り回ったりどうしたら喜ぶか必死に考えるなんて初めてなんだ。これなら他の女と一緒じゃないだろ?」
「そっ、そうだけど……」

 私を起こさないようにそっとベッドを抜け出し、全速力でグロッサリーストアやカフェ、そしてホテルの厨房をまわり、料理を準備する。
 そんな臣海さんの姿を想像しただけでクスッと笑えてしまう。

 そして『誕生日のお祝い』……。

 2年も前に私がポロリとこぼした言葉を覚えていてくれたのだと思うと胸が震えて、可笑しいのに泣きたいような気持ちになる。

「臣海さん、ありがとう……すごく嬉しい。最高のプレゼント」

 
 臣海さんと再会してまだたった2日。なのにどんどん彼のイメージが(くつがえ)されていく。

 臣海さんは思っていたよりもヤキモチ焼きで甘えたがりだ。そして予想に反してマメで料理上手。
 隙が無くて女性に冷たいホテル王の姿は表向きで、本来はこういう人なんじゃないのかな。

 ――こんなに素敵な人が、どうして今まで恋人を作らなかったのだろう。

 彼の感情表現は豪快でストレートだ。こんな人に熱い気持ちをぶつけられたら誰でもその気になってしまうと思う。

 ネットで彼の名前を検索すれば、ちょっと見ただけでもいくつかの艶聞(えんぶん)が目に飛びこんでくる。
 モデルや社長令嬢、女性実業家。数多(あまた)の女性を退けて私が選ばれた理由、それが気になって仕方がない。

 ――けれど……。

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