【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
俺が含み笑いをしつつ前方を注視していると、菜月が赤ワインのボトルとワイングラス、そしてアミューズのプレートを載せたシルバーカートを押して出てきた。
テレビ下からメインテーブルを引き出してワイングラスを置き、慣れた手つきでボトルを傾けワインを注ぐ。
それからアミューズの皿に手のひらを向け、メニューの説明をはじめた。
「こちらはフォアグラムースのカナッペ、こちらはスモークサーモンとアボカドのキャビア添え……」
一つ一つ指し示す白い手を俺がギュッと握りしめると、彼女が肩を跳ねさせて、それきり動きが止まる。
「説明ありがとう、美味しそうだね。君が盛り付けてくれたの?」
「えっ? あっ、はい」
戸惑う菜月を見上げながら親指でスルリと手のひらを撫でる。またしても彼女の肩がピクリと跳ねた。
彼女が何も言えないのをいいことに、指先で手相をなぞってみたり指の股に自分の指を絡めてみたりしてから、最後に細い手首に口づけた。
菜月はバッと手を引っ込めて、うなじまで赤くして去って行く。
「ふはっ、ちょっとやり過ぎたかな」
俺はそう独りごちるとワインと菜月お手製のアミューズを堪能しつつ、彼女の仕事ぶりを観察する。