一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
私たちが映画館に着くと話題作なだけにかなり混雑していた。

「由那ちゃん、チケット買ってくるからここで待ってて」

そういうと原島さんはチケット販売の列に並びに行ってくれた。

私はドリンクを買う列の方は並び、2人分のアイスコーヒーを買った。
トレイを持ち原島さんを探すとちょうど戻ってくるところだった。

「由那ちゃん、お待たせ。あれ?もしかして飲み物買ってきてくれた?」

「はい。何がいいか分からなくてアイスコーヒーにしてしまったけど大丈夫でしたか?」

「もちろん。ありがとう」

そういうとさりげなくトレイを持ってくれ、入り口へと進む。
人が多い中トレイを持って歩くのはちょっとおぼつかなかったので原島さんが持っていてくれて助かった。

「由那ちゃん、混んでるから俺の服掴んで付いてきて」

背の高い原島さんには前が見えているようで人の波をぬうように進んでいく。
私は最初こそ遠慮していたが、あまりの人の多さに不安になり、彼の言うように洋服を掴ませてもらった。
彼にリードされようやく席に着くと程なくして暗くなり、映画が始まった。

映画は期待を裏切らず、とてもおもしろいものだった。

「観に来てよかったです。面白かったし、感動でした」

「あぁ。番宣通り面白かったな」

ついまた人混みの多さに彼のジャケット裾を掴んでいた。
やっと出口につき、自然と駅へ歩き始めたが裾から手を離すタイミングを逃し、何となくそのままの状態で歩いてしまった。
映画の感想をお互い話しているとあっという間に駅に着いてしまった。
行きと同じ、3駅移動し最寄駅へと戻ってきた。

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