一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
連休明けの初日。
想像通り仕事が溜まりに溜まっていて病院中を走り回っていた。
お昼もままならずやっと休憩できた頃には2時を過ぎていた。

そういえばお兄ちゃん、今日から出勤だったよね。
大丈夫かな?
ま、お兄ちゃんのことだからきっとフレンドリーに敵をつくることもなくうまくやれるんだろうけど。

お兄ちゃんは頭の良さはもちろん天性の人たらし。だから敵を作ることがない。
頭がいいのに僻まれることもない。
本当に不思議な人。
だからこそ私もお兄ちゃんには何も勝てなくても僻むこともないし、自慢のお兄ちゃんなんだけど。

6時になり、今日はこれで終わりにしようと片付けをしているとふらっと白衣を着た人がカウンターに立った。
視線を上げると驚いたことにお兄ちゃんが立っていた。

小声で私に話しかけてくる。

「由那、まだ終わらないの?俺は今日もう終わりだからご飯食べに行こうよ。数日間1人で寂しくてさ。付き合ってくれよ」

「もう!話しかけないでって言ったでしょ。外科のドクターがここにいたらダメなんだってば」

私も小声でお兄ちゃんに話すけど長くなっては目立ってしまう。

「今日は特別だからね!駐輪場わかる?そこで着替えたら待ってて」

お兄ちゃんは頷くと、さーっといなくなった。
誰にも見られなかったから心配だったがみんな忙しそうでよかった。
私は慌てて片付け、ロッカーへ向かった。
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