一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
お兄ちゃんは相変わらずで時々私のいる内科病棟を覗きにきては食堂へランチに連れてこられたり、夕飯の誘いに来たりしていた。

暇なの?と思うけど噂によるとかなりのオペ件数をこなしているらしい。
私には全然そういうことは言わないけど頑張っているみたいで身内としては嬉しい。

今日もお兄ちゃんが誘いに来た。
本人はこっそりのつもりだけどもうここまで毎回となるとみんなに隠せるわけもなく、1ヶ月も経つと病棟のみんなには兄妹だと知られてしまった。

「由那ちゃん、お兄さん来てるわよ」

はぁ…お兄ちゃんったらまた来たのね。
そう思い、裏にいたがカウンターに出てきた。

「お兄ちゃん!いつも言ってるけど気軽に来ないでよ。連絡はスマホにしてって言ってるでしょ」

「いや、由那の働いてる姿がちょっとみたいし……」

だんだん声がすぼまる。
病院ではバリバリの外科医として働いてるみたいだけど妹に叱られてる姿は内科病棟の名物になりつつある。

外科病棟の人には見せられない姿かもしれない。

「お兄ちゃん、今日は何?」

「あ、あぁ。明日休みだろ?俺も呼び出しのない日だからキキとドッグランに行がないかな、と思ってさ。そこにあるパンケーキも美味しいらしいから食べるだろ?車も買ったしドライブがてら行こう」

なかなかの魅力的なお誘いに私は内心喜んでいたが口では「仕方ないなぁ」と出ていた。
内心喜んでることなんてお兄ちゃんには分かっていたとは思うけどね。

「明日9時に迎えに行くからな」

「わかった」

さっぱりと会話を終らすとお兄ちゃんも階段を降りて外科病棟に戻っていった。

久しぶりに週末の予定ができて楽しみになった。
キキを連れてのお出かけも美味しいパンケーキとやらもとても楽しみ。
ここ1ヶ月以上遊びでの外出はしておらず家でダラダラと過ごすことが多かったからお兄ちゃんととはいえど誰かと出かけるのはワクワクしてきた。
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