一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
翌朝、お兄ちゃんの買った新車にキキを乗せて出発した。
まだアメリカでの運転が抜けないようで練習がてらのドライブ。
新車にキキを乗せるのはどうかと思うけどお兄ちゃんはそういうことは全然気にしないらしい。

「さ、行くぞ」

そういうとスムーズに出発した。
左ハンドルにしたから慣れもあるのかもしれない。曲がる時とか気をつけないと、といってたわりには慎重で少しも怖くなくドッグランに無事到着した。

キキもお兄ちゃんに慣れたのかそばについて尻尾を振ってご機嫌みたい。

いい天気だし久しぶりに走れてご機嫌みたい。
冬哉さんとジョギングしなくなってからは思いっきり走ってなかったもんね。
キキに申し訳なく思うけど私じゃ走れない。
でもこんなに喜ぶならまたこうやってドッグランに連れてきてあげようかな。

お兄ちゃんも久しぶりにゆっくりした、と言い伸びをする。
もともと高身長のお兄ちゃんが伸びをするとなんとも大きく感じる。

「お兄ちゃん、何センチまで伸びたの?」

「185かな?由那は?」

「157」

「可愛いなぁ」というと髪の毛をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。
バカ!といい私は乱れた髪型を直す。

富士山を見ながら食べるパンケーキは格別。空気も美味しいし贅沢に感じる。

ふぅ〜と無意識に息を吐き出した。

「由那、最近どう?なんかあった?」

「うーん。あったような、なかったような、かな。ま、今はないよ。こうやって美味しい空気吸ったから身体が浄化されたよ」

お兄ちゃんは私の様子がこのところ今ひとつだったから気にかかっていたんだろう。
それもあって病院でも見にきたり、こうして連れ出したりしてくれてたんだと思った。
お兄ちゃんには勝てないな……。

「ま、由那が困ったらいつでも俺が駆けつけるからな。深く聞かないけどいつでも言いたくなったら言えよ」

私は頷いた。 
この話はこれでおしまい。

富士山をバックにお兄ちゃんに肩を組まれ、キキと一緒に写真を撮った。
お兄ちゃんは即座にスマホの待ち受けにしていた。

「お兄ちゃん、シスコンやめないと彼女出来ないよ。見た目いいし、医者だし、すぐに彼女できそうなのに出来ないのは私から離れないからだよ。そのスマホの待ち受けもやめなよ。そんなの見られたらますますモテなくなるよ」

「いいんだよ。由那とキキを見たら癒されるんだから。それに家族を好きになってくれないような奴はこっちからお断りだよ」

はぁ。
ため息が漏れるが、長くアメリカにいたせいか考え方が日本人と少し違くて、家族愛が強いのかもしれない。

ま、こんなお兄ちゃんでもきっといつかどこかで恋に落ちる日がくるんだろうけどね。
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