一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい
その日の夜、家に帰るとバッグの中でスマホが点滅していた。
そういえば昼にお兄ちゃんと写真を撮ってからバッグに入れたままだった。

私はスマホを確認するとメッセージが届いているようだった。 
相手は……冬哉さん?
驚いてスマホを落としそうになってしまう。

【由那ちゃん元気にしてる?最近公園に来てないの?もしかしてもう来にくい?俺は正直言って由那ちゃんともっと話したい。またお喋りしないか?俺が嫌で来なくなったのならもう連絡しない。でも俺の隣に並ぶことで由那ちゃんがそんなに卑下することはない。俺は由那ちゃんがよければまた出かけて欲しいと思っている。往生際が悪いけどどうしてももう一度言いたくてメッセージを送った。嫌なら返信はくれなくていい。ごめんな、でも由那ちゃんとこれで終わるのは嫌だから一度だけ連絡した。俺は本心から由那ちゃんと過ごすことを楽しんでたよ】

膝がガクガクと震えた。
冬哉さんから連絡が来るとは思っていなかった。
まさか冬哉さんから連絡がもらえるなんて思ってもみなかった。
あの日からもう少しで2ヶ月。
もう忘れられたかと思っていた。

冬哉さんが嫌なわけじゃない。
私が勝手に冬哉さんの隣に並ぶべき人じゃないと思っただけ。みんなが私と冬哉さんを見比べて笑ってるように思ったから隣にいることが居た堪れなくなっただけ。
全て私の勝手な行動。

それでも冬哉さんは私とまた会いたいって言ってくれている。
私もあの日から心のどこかで忘れられずにいた。
異性といてあんなに楽しかったことはなかった。話が弾んで、離れ難いとさえ感じた。もっとそばにいたいと思った。そんな人は初めてだった。

冬哉さんはこうして正直な気持ちを教えてくれた。それに私に嫌われてるかも、と思いながらも連絡をしてきてくれた。きっと2ヶ月弱悩んでくれてたんじゃないかな、と思う。
そんな冬哉さんの気持ちに正直な気持ちでかえしたい。

何度も打ち込んでは消して、を繰り返しやっと文章が出来上がった。

【冬哉さん。メッセージをありがとうございました。あの後どうしても冬哉さんに合わせる顔がなく、怖くなり公園に行けませんでした。私も本当に一緒に二日間過ごせて楽しかったです。でも私に自信がないから冬哉さんの隣にいることが出来ず逃げてしまいました。ごめんなさい。公園に散歩に行く勇気のない私を許してください】

これ以上の言葉は出てこなかった。
もっと伝えたいことがあるけど文字に表すのが難しかった。

送信ボタンを押すとすぐに既読がついた。
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