想い出は珈琲の薫りとともに
顔合わせが終わると、すぐに私たちは部屋をあとにした。今度はパーティーに向けて準備が必要だからだ。
「よかった。どうやら桝田さんのこと、気に入ったようです」
廊下を歩きながら、ホッとしたようにそう口にした井上さんを、私は驚いて見上げた。
「えっ? そんな風にはとても……」
「だよね! 薫さん、表情筋固まってるからさ!」
困惑している私に、笑いながら答えたのは安藤さんだ。
「さすがに上司に対して失礼でしょう。薫さんが嫌な顔をしなかったなら気に入ったも同然です」
井上さんは溜め息を吐きながらそう言う。
「まぁ亜夜ちゃん、美人さんだもんね?」
「……安藤。馴れ馴れしいですよ」
井上さんに嗜められ、安藤さんは「え〜? 固いなぁ。さすが井上さん」と子どものような悪戯っぽい表情を見せた。
「だ、大丈夫です。お二人とも私より年は上ですよね?」
「そうだよ? 俺は今ニ十七。井上さんは今年で三十四だから、薫さんの一つ上ね?」
「そ、そうなんですね」
ウインクしそうな勢いで話す安藤さんに、私は押され気味になっていた。
「よかった。どうやら桝田さんのこと、気に入ったようです」
廊下を歩きながら、ホッとしたようにそう口にした井上さんを、私は驚いて見上げた。
「えっ? そんな風にはとても……」
「だよね! 薫さん、表情筋固まってるからさ!」
困惑している私に、笑いながら答えたのは安藤さんだ。
「さすがに上司に対して失礼でしょう。薫さんが嫌な顔をしなかったなら気に入ったも同然です」
井上さんは溜め息を吐きながらそう言う。
「まぁ亜夜ちゃん、美人さんだもんね?」
「……安藤。馴れ馴れしいですよ」
井上さんに嗜められ、安藤さんは「え〜? 固いなぁ。さすが井上さん」と子どものような悪戯っぽい表情を見せた。
「だ、大丈夫です。お二人とも私より年は上ですよね?」
「そうだよ? 俺は今ニ十七。井上さんは今年で三十四だから、薫さんの一つ上ね?」
「そ、そうなんですね」
ウインクしそうな勢いで話す安藤さんに、私は押され気味になっていた。