冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
お母様は話しながら、なぜか私の背後に回る。直後に、彼女の持っていた布が、頭からふわりとかけられた。
肩にかかった布をよく見ると、やわらかなチュール生地のふちが花柄のレースになっていて、繊細なビーズの刺繍があしらわれている。
もしかして、これって……。
「よく似合うわ。ちょっと待ってね、鏡を持ってくるから」
呆然としている間に、お母様が大きめのテーブルミラーを持ってきて、私の前に置く。
そこでようやくお母様が作ったものの正体がわかり、喉の奥がぐっと熱くなった。
「お母様、こんなに素敵なマリアベールを私のために……?」
鏡の中でお母様と目を合わせ、震える声で問いかける。
祝福されない結婚だと思っていた。私はお母様にとって、憎らしい嫁なのではないかと。
――でも、それは私の勝手な思い込みだったのだ。
「ええ。私ね、心が元気になって、ようやく思い出したの。いつか至が結婚する時が来たら、お嫁さんにベールを作ってプレゼントしたいって。ぜひ、受け取ってくれる?」
「もちろんです。ありがとうございます……っ」