冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
声の調子から、私の存在は疎まれていないようだと安堵する。未だ難しい顔で私の電話を見守る至さんにも、口パクで「大丈夫です」と伝えた。
至さんはホッとしたように頷くと、「飲み物を買ってくる」と言って席を立つ。
《芽衣さん、お仕事はなにをされているの?》
「高校のスクールカウンセラーです」
《まあ、どちらの学校?》
私が幾望学園の名を伝えると、お母様は《幾望学園ね……》と復唱する。
《お住まいはどちら?》
「渋谷です」
《ご実家なのかしら?》
「いえ、独り暮らしで……」
お母様からの質問攻めに、身上調査をされているような気分になるが、大事な息子の恋人だもの、あらゆる情報を知りたくて当然だ。
結局住所や電話番号、出身大学なども聞かれるままに答え、ようやくお母様の質問が一旦落ち着く。
売店の方に目を向けると、至さんが店員から飲み物を受け取る姿が見えた。足元ではしゃぐ小さな子どもを避けながら、ゆっくりこちらに歩いてくる。