冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
《芽衣さん?》
「はい」
《至を私に返してちょうだい。あの子は、私を支えるために生まれた子なの》
突然、動物園の平和な空気にそぐわないセリフがスマホから聞こえ、私の心が波立った。
「えっ……?」
思わず聞き返し、至さんに向けていた視線をテーブルに戻す。
《おかしいと思ったのよ、やけに優しい調子でカウンセリングなんて勧めてくるんだもの。私のためを思っているんだって一応大人しく通ってみたけれど、あなたの職業を聞いて納得がいったわ。至に入れ知恵したのはあなたなんでしょう?》
カウンセリングを勧めたのは確かに私なので、即座に返事ができなかった。
それに、この様子ではお母様の状態はあまり改善していない。彼女の言い分を否定しようものなら、ますます意固地になるのが目に見えている。
どうしようと思っている間に、お母様がさらにまくし立てる。
《夫に裏切られてからずっと、母ひとり、子ひとりで生きてきたの。これからもそうするつもりよ。だからお願い芽衣さん。あの子と別れて、至を母親思いの優しい息子に戻して》