冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
母親は自棄になり、崎本くんの育児を放棄。心に空いた穴を埋めるように代わるがわる色々な男性と付き合うようになり、ますます崎本くんを邪魔者扱いするようになった。
気の毒に思った母方の祖母が彼を育ててくれたらしいけれど、中学に上がる前に祖母は病で他界。崎本くんは同級生の誰より早く、大人にならなければなくなった。
「修学旅行に行きたくないのは、芽衣ちゃんが来ないから」
「えっ?」
ふと、対面に座る彼から上目遣いでそんなことを言われ、ぽかんとする。
確かに、私は修学旅行に行かない。学校行事にはできる限り参加するようにしているが、泊まりとなると成優の預け先がなく、欠席するしかないのだ。
「大人のくせに鈍いんだな。俺、別に不幸自慢したくていつもここに来てるわけじゃない。芽衣ちゃんに会いたいから……毎日顔が見たいから、来るんだ」
堂々と言いながらも、十七歳の少年は耳まで真っ赤にしている。
今までもなんとなく彼からの好意には気づいていたものの、こうして真正面から感情をぶつけられたのは初めて。
傷つけたくはないが、望みを持たせるようなことも言えない。