冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~
草野先生の分厚い背中を見送り、校門を出る。途端にカウンセラーから母親にスイッチが切り替わり、早く成優の顔が見たくて早足になった。
保育園までの道には、距離は長いが明るい大通り、近道ではあるが街灯が少なく不気味な路地、というふたつのルートがある。
冬みたいに真っ暗なわけではないから、今日は近道しよう。そう決めて路地に入り、まばらな街灯が照らす細い道を歩く。
時々通るので慣れてはいるけれど、毎回肝を冷やす。あちこちの電柱に【チカン注意】なんて貼り紙があるのも恐怖心をあおる一因だ。
……ん?
ふと、背後に人の気配と足音を感じて立ち止まる。すると後ろの足音もほぼ同時に止まり、振り返ってみるものの、誰の姿もない。
気のせいかな。今日の服装はパンツスーツだし、襲われるような年齢でもないし……。
自分を安心させるようにそう思いながらも、拭いきれない恐怖からつい駆け足になる。
するとやはり後ろから追ってくる足音が聞こえて、いよいよ本気で怖くなった私は振り返らずに保育園までダッシュした。