記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「まだまだ大きくなってもらわないとな。この子には。今日はデートだから、頼むからおとなしくしていてくれよ?」
お腹に向かって話しかける彼に愛しさが募って、彼の頭を撫でる。

「うわっ!今俺の頬っぺた蹴られた!」
あまりに嬉しそうな反応に、私はまだ支度が終わっていないのに、動けなくなる。

結局、彼の赤ちゃんとのいちゃいちゃタイムはしばらく続いた。

「よし!満足した。」
彼がお腹から離れた瞬間思わず笑ってしまう。
「次は桐乃との時間、満喫しないとな。ごめん。支度の続きどうぞ。」
解放された私は、化粧を始めた。

途中で、「俺がやろうか?」と得意げに言う彼に、私は大丈夫だからと断る。
「でも、俺のメイクもなかなかだっただろ?」
「・・・うん」
「またいつでもやるから。」
「むしろ楽しんでない?」
< 165 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop