記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「どうした?」
目を覚ましても私が何も言わないことに彼は一気に不安そうな表情になる。

「・・・おはよう・・・」
これ以上彼に心配をかけたくない。
不安な思いをさせたくない。

私はかすれる声で彼にそういうと、紫苑は顔にくしゃっとしわを寄せて、嬉しそうに微笑む。

あーまただ・・・

私の心の奥に眠る私が、喜んでる。
愛を感じて熱を帯びている。

そして、彼の愛にこたえられず、思いだせない私へのもどかしさに・・・


泣いてる・・・。
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