一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 考えるのはデザインじゃなくて、リセとの結婚である。

「そういえば、連絡先に名刺をもらったんだった」

 仕事にいくため、デザイン画をバッグに入れた。
 リセの名刺を一度確認しておこうと思い、名刺入れを探していると、スマホが鳴った。
 スマホ画面には、妹の千歳(ちとせ)が入院している病院の名前が表示されている。

「病院から? まさか千歳になにか……」

 慌てて電話を取った。

『清中です』
『もしもし、清中(きよなか)琉永(るな)さんですか?』
「はい、そうです。千歳になにかありましたか!?」
『いいえ。千歳さんは発作もなく、元気ですよ』

 元気と聞いて、ホッと胸をなでおろした。

「あ……、そ、そうですか。よかった」

 ホッとしたのもつかの間――

『先月分のお支払いが、まだなんです。千歳さんのご両親に連絡したのですが、琉永さんに連絡するよう言われてまして……』

 気まずい空気が電話越しからでも伝わってくる。

 ――父はいったいなにを言ったのだろう。もしくは継母が私の悪口を言っていたのか。
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