一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 怒り狂い冷静さを失いかけているのを見て、悠世が警備に連絡をする。

「自分で帰るか、警備に捕まって警察を呼ばれるか、どっちがいい?」
「警察!?」
「それはそうだろう? お金を払えって、脅迫してきたのはそっちなんだからさ」
 
 ボイスレコーダーを悠世は見せた。

「なんなら、暴れてもらってもいいんだよ? ビル内には監視カメラも設置されてるし。それも証拠に使える」
「敵も多い。俺たちは油断しないよう祖父から、教えられているんだ」

 俺も悠世も誘拐されそうになったことがある。
 警戒心は人より高いかもしれない。
 廊下から大きな足音が聞こえてくる。

「警備が駆けつけてきたみたいだな。今後、娘たちに近寄らない約束をしてもらえたら、警察には通報せずに済ませるが、どうだ?」
「そ、それは……」
「その気になったなら、誓約書をサインして、警備に渡してくれ」

 琉永の父親の胸ポケットに入れ、にっこり微笑んだ。
 警備がやってきて、腕の両側を持ち、引きずるように重役室から連れ出された。
 屈強な警備たちに敵うわけがなく、おとなしく去っていった。
< 199 / 260 >

この作品をシェア

pagetop