一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 継母は結婚した当初から、父と前妻との間にできた私と妹を他人だからと言って、冷たい態度だった。

『私はあなた達の母親じゃないの。お母さんなんて呼ばないでよ』

 私と妹は初対面でそんなことを言われ、気分が悪かったけれど、母と呼ぶ気持ちにはなれず、継母とは距離を置いて過ごした。
 それに、父は私たちを邪魔にして遠ざけ、祖父母の家で、私と妹は暮らしていた。
 けれど、高齢だった祖父母は、私が高校生だった頃、他界してしまい、父は仕方なく私たち姉妹を引き取り、継母と暮らすようになったのだ。

 ――それでも、父が娘を道具のように扱うなんて思わなかったわ。父に少しくらい情があるかもって、期待してた私が馬鹿なんだろうけど。

 父は乾井さんと結婚させて、私が幸せになれるとは思ってない。

 ――わかってる。ただ会社を失いたくないだけ。娘より会社が大事なのよ。

 父のほうをちらりと見たけれど、後ろぐらい気持ちがあるのか、目を逸らされてしまった。

清中(きよなか)繊維の大切な取引先の息子だ。粗相のないようにな』

 このお見合いが決まった時、父から言われたのはそれだけだった。
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