一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 でも、私がお見合いを引き受ければ、妹の大学費用を出してくれると父は私と約束をしてくれた。
 祖父母を亡くした私にとって、家族と呼べるのは妹だけだった。
 それは妹も同じ。

 ――妹の夢は医師になること。医学部はお金がかかるし、私のお給料じゃ、夢を叶えてあげられない。
 
 それだけではない。
 父が会社を失えば、妹の病院代も払えなくなる。
 私も清中繊維が経営が、うまくいってないのだろうと、お見合い話を持ってきた時点で、薄々察していた。
 父は乾井さんの申し出を断り、機嫌を損ね、大口取引先を失うわけにはいかない。
 だから、娘の私を差し出した。
 これで済むなら安いものだ――それが父の本心だろう。

「琉永さんはデザインの仕事をされているとか」

 黙って継母の話を聞いていた乾井さんが、突然、私に質問してきた。

「はい。専門学校の先輩が立ち上げたデザイン事務所で働いております」
「なるほど。そうですか」

 たったそれだけで、私のなにがわかったというのか、うなずいた後は、なんの会話もなかった。
 
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