一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 コーヒーを飲むヒマもなく、ソファーから立ち上がった。

「次の予定があるので、これで」
「理世。お前は女に騙されたわけじゃないよな?」

 ――週刊誌を熟読し、そんな感想を述べた父は、俺より素直で善良な人間だ。

「俺を騙したというのなら、永遠に騙されていたい。そう思ってるよ」

 まあ、ロマンチックと、母がうっとりしていた。

「理世さん。今度、連れていらっしゃいな。理世さんを騙す女性なら、とても素敵な方でしょうから」
「理世を騙せる人間がいるなら、むしろ見てみたい」

 父は母と悠世の言葉に納得したらしく、それもそうだなとつぶやいた。 

「近いうちに、紹介するよ」

 そう言って、リビングを出ると、さりげなく悠世が、俺の後ろを追ってきた。

「理世。待て」
「悠世?」
「今度のショーに『Fill(フィル)』も出るらしいね」
「兄さんが気にするなんて珍しいな」
「『Lorelei(ローレライ)』に比べたら、まだまだだけど、興味はある」

 興味を持たれただけでも、『Fill(フィル)』にとって、大きな意味を持つ。
 悠世は自分の興味がないものに対して冷たい。
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