一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 それは『Lorelei(ローレライ)』で働くデザイナーやパタンナー達に対してもそうだった。
 それだけ、自分のイメージが決まっているということだろうが、悠世が興味を持ち、気に入る人間を探すのは一苦労だ。

「お前の妻になった清中(きよなか)琉永(るな)がどんな服を作るか、楽しみにしているよ」
「プレッシャーをかけるな」
「お前の妻になるからには、父と祖父を納得させるくらいのなにかがないと困る。今はうまく誤魔化せても、数年後、傷つくのは彼女だ」

 悠世なりに心配してくれていたようだ。
 俺の妻になれば、いずれは麻王グループの社長夫人だ。

「悠世。『Fill(フィル)』は『Lorelei(ローレライ)』に負けないブランドになる。これは誤魔化しでもなんでもない。油断していると、危ないぞ」
「ふーん。理世がそこまで言うなら、俺もこの先が楽しみになってきたな」
「それと、兄さん。清中琉永ではなく、麻王琉永だ」
「こだわるな」
「大事なことだ」

 俺の気持ちがわかるのか、悠世は近づいて小声で言った。
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